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業務日誌 08年10月

10月19日(日) SFCGからの一括弁済請求

最近、SFCG(旧商工ファンド)が、顧客に、一斉に、「担保割れが発生しているので、期限の利益が失われている。一括弁済してほしい」という通知を出し、問題になっている。
10/13に、千葉で、この問題についての110番に参加したが、約60件の相談があった。
ほとんど、「これまで滞納もなく支払ってきたのに、突然、一括弁済の請求が来て困惑している」というような内容の相談だった。
この通知に対する対応策を簡単に書いてみる。

(1)一括弁済に応じる必要はない
借入金の返済計画は、貸主と借主の契約内容として合意されているのだから、債権者の都合で、一方的に変更されることはない。
契約書にも、「滞納があったら、期限の利益を喪失する(=返済期限について、分割払いにしてもらうという利益を喪失し、その時点での残金一括払となる)」と書いてある。
これは、逆に言えば、「計画どおり返済している限り、分割払いの利益が失われることはない」という意味である。
SFCGからの通知には、「担保割れ」などと書いてあるが、多くの顧客に一斉に送っている以上、個別の担保の評価などしているはずはなく、とってつけた理由に過ぎない。

SFCGがこのような行動に出ている本当の理由は、「顧客の担保割れ」などではなく、SFCG自身の資金繰りに過ぎないと思われる。
SFCGは、外資系の金融機関から資金を調達しているが、リーマン破綻の影響などで、資金繰りが厳しくなっており、そのために、顧客に「一括で返せ」という請求をしている模様である。

(2)具体的にどう対応すればよいか
期限の利益が失われていない以上、これまでどおり、分割で返済していけばよい。
しつこく返済催促が来るようなら、上記の理屈を話して、「今後とも、契約どおり支払わせていただきます」と話して、断ること。
なお、
日栄・商工ファンド対策全国弁護団から、以下の情報が来ているので注意すること(ちなみに、ここに電話すれば、近くの担当弁護士を紹介してもらえます)。

「SFCGが11/5返済予定の請求書を出してない可能性があります。
もし請求書が届かなくても、11/5の約定返済は必ず守ってください。
(毎月金額が違う場合は10/5より多めを振り込んでください)
「請求書が来ないから支払わなかった」という状態をつくらないよう、お願いします。」

要するに、SFCG側としては、「期限の利益を喪失して、一括払となったのだから、毎月の分割の請求書は送らない」という理屈で、今後の請求書を送ってこない可能性がある、ということと思われる。

(3)合わせて知っておくべきこと
SFCGに、長期間きちんと返済している場合、「過払い利息」が発生しており、この点を計算に入れると、数百万残っていると思われる債務が、実はゼロだった、ということがよくある。
(過払い利息の問題については、他の弁護士のホームページでもみて下さい)。
万が一、期限の利益を喪失していたとしても、利息制限法で行けば、ほとんど債務は残っていなかったり、逆に、過払いとなっていて、お金を取り戻せる場合もある。
長期間返済をしている人の場合には、SFCGから、「今までの取引についての取引明細」を送ってもらい(電話すると、FAXですぐ送ってくる)、「利息制限法の引直し計算」をしておいたほうがよい。
(「利息制限法計算ソフト」などのキーワードで検索すると、色々出てきます)。
当面の返済に問題はない方についても、法的に正しい債務の額を知っておく価値はあるから、強くお勧めする。
(私としては、この通知を機会に、利息制限法で完済にしてしまう方が増えれば、と思っています)。

(4)引直し計算の結果が出たら
引直し計算の結果、「300万あると思っていた債務が、10万だった」という場合、どうするか。
普通の会社であれば、弁護士が入って、計算結果をもとに交渉すれば、「あと10万払えば完済とする」というような合意がまとまる。
これに対して、SFCGは、普通の会社ではないので、話合いにはならない。
ただ、これは、SFCGが強硬な態度をとって、あくまでも300万の返済を求めてくる、という意味ではない。
「文書で交渉を申し入れても返事がなく、担当者に電話しても要領を得ない」、という状況で、話合いを行なう態勢になっていない、ということ。

このため、私の場合、「あと10万円分の支払を継続したら、利息制限法では完済となるので、支払は終了とさせていただく」という通知を送って、10万分払った段階で、支払を停止してしまう。
今までの経験では、SFCGも、利息制限法という法律のことは十分知っているので、きちんとした合意書などは作成できなくても、10万払った後は何も要ってこなくなる。

(以上は私の経験に基づいて書いているものなので、その点ご注意下さい)。

10月01日(水) 家の価値よりも、住宅ローンが高い場合の財産分与

離婚の際に、1000万円の家(夫名義)があるが、住宅ローンが2000万円(借主は夫)残っていた場合の財産分与はどうなるか(財産はこれ以外にはないものとする)。
この場合、財産は、トータルではマイナスなので、妻からは財産分与を求めることはできない。
ただ、この場合、夫の側から、「家1000万円−ローン2000万円=マイナス1000万円で、1000万円の債務が残るので、妻にも、半分の500万円を負担してもらいたい」という方向の相談もある。
この点、財産分与と債務(判例タイムス1269号)という論文が載っていた。
これによると、このようなマイナスの財産分与について、理解できないことはないが、結論としては難しいとのことである。
理由としては、妻に500万円を負担させるといっても、そう簡単ではない、とのこと。
たとえば、500万円を一括で払え、とすると、夫のローンは分割払いなのに、妻が一括で払うのはおかしい、ということになる。
また、住宅ローンのうち500万を、妻の側に移す、というほうほうが考えられるが、これは、貸主の銀行にも影響があることなので、銀行の承諾を得ない限り、そのような取決めはできないだろう、とのこと。

夫の側に気の毒なようにも思われるが、実際には、夫がローンを払って、家に住んでいく・家を出た妻は、家賃を払って他の家を借りる、ということも多い。
また、ローンを組んだ時点では、それなりの価値があると判断したわけで、その後の値下りを自分が負担するのもやむを得ない(その代わり、値上りしたときは、自分の利益となる)ようにも思われるので、やむを得ないところだろうか。

たまにある質問だが、はっきり書いてある文献はみかけなかったので紹介。