業務日誌 07年11月
11月30日(金)
任意整理の依頼者と打合せ。
コラムにも書いたような、「債務はある程度減るが、返済するにはちょっと多いのでは」という話。
本人は、車のローンもあり、破産や再生で車をなくすのは困るので、返済を希望。
実家に住んでいることもあり、節約すればなんとかなるだろう、とのことで、任意整理で返済方針とする。
土地の時効の相談。
親の代から、親戚に土地を貸してきたが、地代はもらっていない。
貸してから、もう何十年も経過しているが、この際買取ってもらいたい、時効にはなっていないだろうか、という話。
判断は難しいが、10年ほど前に、その親戚が、土地の上に建物を建てていた。
その際、建物のローンについて、土地を担保に入れたいので、協力してほしい、との頼んできたとのこと。
これは、土地がこちらのものであることを前提としている行動なので、このようなことをしている間は、時効にならないのでは、と回答。
11月29日(木)
何度か書いてきた集団解雇事件の証人尋問2日目。
最初の証人。
こちらは、「A会社が偽装倒産し、B会社に引継がれたが、B会社の出資者はA会社の社長であり、AB会社は実質同一の存在」、と主張している。
これに対して、「自分がB会社に出資した」という証人が出てきた。
こちら側としては、「出資したお金はどこから出てきたのか」と聞くべきだが、その程度のことは、きちんとうそを準備してあると思われた。
そうすると、かえって相手に有利な材料を与えてしまうことになるので、周辺の事情から慎重に聞くことにしていた。
しかし、裁判官から、「そのお金はどこから出たのか」というストレートな質問。
証人は「会社の運転資金で自分の老後資金…」というようなわけのわからない回答。
うそはきちんと準備していなかったようだ。
続いて、B会社社長の尋問。
会社設立後の運営に、A氏から資金提供してもらったことはないとのこと。
しかし、それだと、会社の経費が足りない計算になる。
「従業員の人数などを考えると、先ほどの証人から提供された資金だけでは足りないことになるが」と質問。
「何とかなりました」と、これまたわけのわからない回答。傍聴席から失笑。
これで、3年やってきた件の証人尋問が終わり、少し肩の荷が下りた。
11月28日(水)
ちょっと調子が悪く病院に出かける。
いつも思うのだが、弁護士と比べて医師はあまり説明しない。
診療報酬のこととか、扱っている問題の違いもあるとは思うのだが…
たまに患者の立場になってみるのも勉強?になる。
11月27日(火)
午前から、事件の現場に行き、写真撮影。さらに移動し、別の事件の関係者と面談。
事務所に戻り、相談、打合せ3件。
その後法廷。通常は5時までで終わるが、和解協議が長引き、5時過ぎとなる。
そろそろ提出期限が来る書面を作成する。
司法書士から引継いだ訴訟だが、やはり、最初から自分でやらないと、自分でもよく分からなくなってくる。
思いきって全部白紙に近い形に戻すことにして、全面的に書き直す。すっきりして良くなったと自己満足するが、勝てるかどうかは別問題。
ここ数日相談予約が多い。こういうときは、誰かが「あそこに行ったら」と言ってたり、他の相談窓口が閉まっていることが多い…と思っていたら、知人から「相談者紹介しておいたから」との連絡があった。
11月26日(月)
午前、午後と、家事関係の調停2件。
何度か書いたが、最近このパターンが多く大変。
1件、こちら側と相手側の意見の対立が大きく、調停成立は無理だろう、今回打切りにしよう、と話していた件があった。
調停は打切りとして、裁判にすれば、こちらの勝訴の可能性が高い内容なので、そのほうが結果的には早く終わる。
この件について、調停委員から、「相手側は、これまでかたくなだったのだが、こちらの提案に乗るべきか、少し迷い始めたようだ。もう1回期日を続けて、話し合ってはどうか」との話が出る。
そのように言われると、こちらは、相手側の話の状況を直接見ていないし、話合い成立の見込みはないと断言することもできないので、迷うことになる。
調停には強制力がないので、いくら長く話し合って、9割意見が一致したとしても、残りの1割が一致しないなら、成立しないことになる。
結果的に無駄になることも多いので、あまり調停は長々せず、話し合うなら裁判を起こした上で法廷で、というのが私の考えだが、なかなか判断が難しいことも多い。
11月24日(土) 先物取引・証拠金不足額請求書が来た
先物取引の相談は、こんなふうに始まることが多い。
「先物業者から、金利がよいからと言われて取引を始めたのですが、値動きの関係でどんどんマイナスになっていきました。業者に言われるまま、お金を追加していったのですが、もう払えなくなりました。そうしたら、業者から、証拠金500万円が不足している、という文書が送られてきました。もう払えません」
結論から言うと、このような場合、損になっていることは事実かもしれないが、500万円を払う義務が発生しているわけではないので、あわてる必要はない。
先物取引は、業者に預けた「証拠金」の範囲で行なう取引。
簡単にいうと、証拠金を1000万円預けて、(貴金属の)金1億円を買ったとする。
その後、金が500万円値下りして、9500万円になったとすると、500万の損となっている。
この損は、1000万円の証拠金の範囲内なので、すぐ取引をやめれば、そこから500万円が差引かれるだけで(これだけでも大損だが)、残りの500万は返ってくる。
冒頭の「不足額請求書」は、「損失が出て、預けている証拠金を上回りそうになっている。今後取引を続ける気があるなら、あと500万追加してください」という意味の文書。
文書を受取った側は、「もう続ける気はないから、返還可能な額は返してください」と言えばよい。
この程度のことが分からず、取引をしているのは、「預金通帳の見方を知らずに、銀行取引をしている」というようなもの。
しかし、実際には、業者が、取引の仕組みをほとんど教えず、「金利がよい」などと嘘を言って取引をさせていることが多いので、本人を責めることはできない。
上記のような場面でも、業者は、「取引をやめれば、ある程度お金が返ってくる」ということを教えずに、本人の誤解を利用して、さらにお金を入れさせようとする。
業者から「損が出ているので入金してほしい」と言われたら、以上の点を確認の上、取引はすぐ中止すべき。
11月22日(木)
川崎まで証人尋問に出かけて1日つぶれる。
なぜか、ここ1、2年、横浜・川崎方面の事件が多かった。
行くだけでも大変だったのだが、これで全て終わる見込みに。
11月21日(水)
千葉で、個人の貸金業者に対する過払い訴訟。
個人の貸金業者は、証拠を残さない(領収書を渡さなかったり、返済が終わると契約書を破り捨ててしまったりなど)ため、意外と、過払い請求から免れていると思われる。
今回は、銀行振込で返済していて、振込の明細書も残っていたので、そこから履歴を推定して、過払いの請求をしている。
期日前に、相手側の弁護士から、「原告が主張する大口取引以外にも、小口の貸付を何度もしている。振込の明細書には、小口の貸付の返済も含まれている。その分は、過払いから除外する必要がある」との書面が来る。
現在、残っている資料から、小口の分を逆算する作業をしている、とのこと。
しかし、わざわざそんな面倒なことをする必要はなく、大口取引について、自分で保管している取引の明細書を出してくればよいこと。
この点を書いた書面を反論として出しておいた。
期日では、貸金業者側から、大口取引の明細書を出す、という話になった。
11月20日(火)
打合せ2件。
昨日の相手側弁護士との話について、依頼者に来てもらい説明する。
契約解除の内容証明郵便を送る件について、こちらの案から少し手直ししてほしいとのことなので、相談の上訂正。
相談2件。
弁護士から、貸したお金の返済を請求する内容証明郵便が来たという話。
話しを聞くと、お金を借りたというよりも、はっきりした書類も作らず、贈与を受けた、と言えるような内容。
とりあえずこちらの言い分を書いて、返事を出したらどうかという話をする。
債務整理関係、住宅ローン、サラ金不動産担保、保証人、と色々な種類の債務があり、複雑な内容。
11月19日(月)
事件の相手側の弁護士(東京の人)が、こちらの事務所に来て、話をする。
弁護士同士なら、文書でやりとりしてもよいわけだが、東京だと、お互い面識がない場合も多いので、まずは直接会って挨拶する、という場合も多いようだ。
裁判をやっていると、弁護士が熱くなってしまい、弁護士同士の争いになってしまう場合もなくはないので、最初に顔を合わせておくのもよいのかなと最近思うようになった。
午後、すでに着手している債務整理の依頼者が来る。
まだ言っていなかった借入れがもう一件あったとのこと。
この件は、利息制限法の計算も終わり、返済方法を相談しようか、という時期だった。
このまま知らずにいたら、返済計画を立ててもうまくいかなかったかもしれない。
隠さずに全て話してもらうことが必要。
11月16日(金)
過払い事件の判決2件。
どちらも、三和ファイナンスが、平成9年からの取引履歴しか出してこなかったもの。
こちらの依頼者は、「取引はもっと古い」と言っているので、「三和側の資料では、平成9年に○○円残高がある、となっているが、これはゼロとみるべき」と主張していたもの。
三和の対応があまりにもいい加減だったこともあるが、こちらの主張が認められ、最初の残高をゼロとする計算となった。
その後、先物事件の訴訟期日。
裁判所から和解の提案。
午後、千葉で、弁護士会の行事(裁判ウォッチング)に参加。
市民の参加の募集をし、刑事裁判の傍聴をして解説をする、というもの。
平日昼間の行事なので、お年寄りの参加が多かったのだが、最近は若い人もみかけるようになった。
司法試験の合格者が増加していることもあり、職業の選択の一つとしてきているのかもしれない。
11月15日(木)
仕事は一日休んで、茨城の鹿島と、銚子の「公設事務所」の支援委員会に出かける。
委員会は、最近ほとんど出れずにいるが、この委員会は定足数が厳しく、私がさぼると「委員会不成立」になってしまうかもしれないのでさぼれない。
この委員会には、東京の、クレサラ事件の裏事情?に詳しい弁護士が来ている。
ネットで派手に広告をしているような事務所の問題行動とか、最近のヤミ金事情などの話が出る。
11月14日(水)
裁判所で、破産・再生の期日4件。
1件は、破産ではあるが、50万くらい過払いが回収できたので、そこから手続費用を支払ってもらった。
実質、本人の持ち出しはなしで、いくらかお金が返ってきたことになる(とはいっても、元々自分が払ったお金なのですが)。
過払いがある場合はこういった形で終わることも多い。依頼者からすると、もっと早くやっておけばよかった、というところではないだろうか。
午後、以前からの継続の相談色々。
話が煮詰まって、裁判をやるかどうか、という段階になると、ここには書けなくなる…
11月13日(火)
遺産の関係の相談。
遺産分割協議をした後に、相手側が、「遺言が見つかった」と言っているという。
しかし、「遺言があったなら、コピーを送ってほしい」というと、送ってこないとのこと。
一般論でいうと、遺言があることを知らずに、遺産分割協議をした場合、その協議は錯誤で無効となる場合があり得る、という最高裁判例もある。
ただ、コピーも送ってこないとの状況だと、遺言があるということ自体疑問。
その他のトラブルもあり、内容証明を送って様子を見ることに。
訴訟の打ち合わせ。
建築関係で、やはり話をきいてもよく分からないので、現場に行く方針とする。
現場に行くのも3回目なのでこちらも大変だが、遠隔地の弁護士だと、現場に来ること自体できないだろう。
「地域限定」で活動していることのメリットでもあるので、できるだけ行くことにしている。
11月12日(月)
午前訴訟1件、午後訴訟1件、調停1件。
3回裁判所に出かける。
訴訟の判決が出たので、判決も受け取る。
予想より不利な内容で不満。
不利な判決をもらったりすると、「裁判所は、ごく表面的なことしか見ていない」と感じることが多い。
もっとも、勝訴している場合も、同じく、表面的なことだけ取り上げられた結果、勝っているわけなので、裁判とはその程度のものと思って、対策を立てる必要がある。
(これは、裁判所が手抜きだ、というわけでは、必ずしもなく、ある程度明快な証拠がなければ、主張は認められないので、そのような証拠を出せなかった結果、主張が認められなかった側からすると、表面的にしか見ていないと感じられる、という意味)。
夕方、千葉まで会議に出かける。
9時に事務所に戻り、先週末に依頼された仕事(大量の契約書作成)をする。
といっても、ひな形をつくって、数字を入れていくだけなので、それほど遅くならずに終わる。
11月11日(日)債務整理・債務がそれほど多くない場合の手続の選択
たとえば、500万の借り入れがあったが、利息制限法適用の結果、200万くらいまで減ったとする。
500万なら明らかに破産だが、200万くらいだと、返済できる可能性も出てくるので、手続の選択に迷うことがある。
この場合、以下のような点を考える必要がある。
(1)破産すれば返済はゼロで済むわけで、無理に返済をするメリットはない。
ただ、破産すると家や、通勤に必要な車がなくなるなど、返済することにメリットがある状況の場合は、返済方向を考えてもよいと思われる。
また、独身で実家で生活しているような場合、生活費の負担が少ないので、返済余力は大きいことになる。
この場合、裁判所に破産で出しても、認めてもらえない可能性もあるので、返済方向で検討せざるを得ない場合もある(ただし、再生が使える場合もある。後述)。
(2)返済する期間、同額の貯金をした場合と比較してみる。
500万から減ったとすると、だいぶ楽になるように思ってしまうが、200万を貯金することを考えてみると、月3万円づつ貯めても、5年以上かかる。
言い方を変えると、返済にした場合と、破産して債務をゼロにした上で貯金をしていった場合で、同じ5年経過した場合、前者はようやく債務ゼロ、貯金ゼロという状況に対して、後者では200万の貯金があることになる。
500万も借りている人の場合、そこに至るまで、家族などに迷惑をかけている場合も多いと思われるので、債務は一旦整理した上で、今後は倹約して貯金をしていくほうが、周りにも迷惑をかけない方法ではないだろうか。
(3)返済の場合でも、再生が使える。
上に書いたように、ある程度返済余力がある場合は、再生により、債権カットしてもらった上で返済することが考えられる。
再生のほうが破産より条件が緩いので、破産がだめでも再生はOK、という場合はかなりある。
利息制限法で債務が200万まで減った、という場合なら、再生で、さらに100万までカットしてもらえる。
これなら、3万×3年で返済可能であり、この程度ならそれほど無理でもないと思われる。
以上のように考えると、債務が減ったといっても、返済方向をおすすめできるのは、100万以下に減った場合まで。
それ以上であれば、やはり、破産を基本に考えるべきだが、返済する場合でも、再生で、できる限り債権カットしてもらった上で、返済するのがよいと思われる。
11月10日(金)
千葉で過払い訴訟の期日。
昭和50年代からの取引のため、かなり額が大きい。
裁判を起こしたら、業者側から、「払うから少しまけてくれ」との申し入れがあった。
私は、基本的には妥協しないで全額請求する方針だが、小さい金額の端数カットくらいなら考えてよい、という話をした。
業者側は、社内で検討する、とのことだった。
しかし、その後返事がなく、裁判の期日となった。
業者側からは、話し合いが進んでいるから裁判も進まないと勘違いしているのか、「答弁書」も提出されない。
「答弁書」が出ないと、自動的に、こちらの言い分を認めたとみなされることになる。
業者側の担当者には気の毒だが、返事をしてこないのは向こうだし、こちら側から、業者に気を遣って、期日の延期でもしたら、依頼者から見ると、「業者と談合」ということになりかねない。
裁判所には、こういう状況なので、判決にしてください、と話す。
事務所に戻り、別の件の証人尋問の調書をもとに、書面を作成。
夜、当番弁護に出かける。
2日連続だが、他の弁護士から交代したため。
11月08日(木)
午前、家を明け渡す引っ越しの立ち会い。
午後、当番弁護士で接見に出かける。
行ってみると、「知人への伝言を頼みたい」という話。
本来、当番弁護士は、「無実の人が捕まった場合に、早く弁護士がつけるようにする」というためにやっているもので、伝言のためのものではない。
伝言が必要な場合もあるだろうが、今回は、自分で手紙を書いてもらっても間に合う話だった。
今回は近くの警察だったから腹もたたないが(伝言もしてあげた)、ボランティアで片道2時間かけて出かけた先でこれだと、さすがにどうかと思うこともある。
と言っても呼んだ本人が悪いわけではい(強いて言えば、本人が何か不平をいうと、すぐ、当番を呼びなさい、という裁判所の対応が問題だと思う)。
午後3時に事務所に戻り、国会裏の衆議院議員会館で、「割賦販売法改正についての院内集会」に参加。
11月07日(水)
相談、打ち合わせ4件。
3件は債務整理関係だが、そのうち2件は、法律扶助を使っての破産手続の方針とする。
法律扶助は、手続費用を立替えてもらう制度だが、立替えで出る金額が低いので、あまり言いたくないが、「事業としての収支」はなかなか厳しい。
しかし、高齢者、病気、母子家庭の場合は、基本的には法律扶助をすすめることにしている。
不動産関係の相談。
農地について、売買契約後、農業委員会の許可を取らないまま、10年以上経過しているが、こちらに名義を移せないか、という話。
10年経つとさすがに時効と思われるが、この件については、売主が、現在でも、過去に契約したことを認めるような言動をしている、とのこと。
その場合には、時効にならない可能性も出てくるかもしれない。
それでも、一般的には、長年経ったものを裁判にするのはなかなか難しいのだが、次回に関係資料を持ってきてもらい、もう一度検討することにする。
11月06日(火)
東京高裁で和解期日。
2度目の和解期日で、1度目に、裁判所から提示のあった案を依頼者に伝え、検討結果を回答する。
こちらの回答は、「もう少し譲歩してもらえないか」というものだが、相手側は受け入れられないとのこと。
裁判所からは、それまでと同じ条件で、再度検討してもらえないか、という話がでる。
この件は、1審ではこちらの勝訴(支払いゼロ円)だったのだが、高裁に来て、相手側が、新しい主張を出してきた。
高裁がこちらの勝訴判決を維持するつもりなら、こんなに何度も和解期日をせず、さっさと「控訴棄却」の判決をすればよいわけで、このまま行くと、逆転される可能性が高いとみるしかない状況。
もっとも、逆転といっても、100対0だったものが、95対5になる、という程度のものなので、依頼者にも、粘るだけ粘ったのだから、ということで、納得してもらう必要があるだろう。
11月05日(月)
午前から東京で委員会の予定だったが、急に刑事事件を担当することになった。
今週の時間の余裕がなくなってしまったので、委員会はさぼらせていただく。
午後から、サラ金の三和ファイナンスへの、従業員からの残業代訴訟。
原告本人に、会社での勤務実態を証言してもらう。
「回収」の担当者で、法律で回収活動を行うことが許されている時間(午前8時から午後9時)まで、延滞者の家を訪問していた、というのが仕事の内容。
「回収」担当者というと、割るそうなイメージもあるが、実際には、ノルマを押しつけられて、回収という非人間的な仕事をさせられる、という、気の毒な立場でもある。
11月04日(日) 契約が錯誤により無効となる場合
判例タイムズ1247号に、「裁判実務における錯誤論 その現状と課題−同時存在の原則を中心として−」という論文が載っている。
一見難しそうだが、「契約内容に勘違いがあったので、契約を取り消したい」というような相談はよくあるし、一般の方にも参考となると思われるので紹介する。
民法では、「法律行為の要素に錯誤があったときは無効とする」としている(95条)。
「錯誤」とは、「思い違い」のことだが、すべての思い違いが契約無効の理由となるかというと、そのようなことはない。
たとえば、「バブルのころに、値上がりすると思って土地を買ったが、値下がりしてしまった」という場合、「値上がりする」という期待は思い違いだったわけだが、これでは契約は取り消せない。
逆に、「有名な作家の作品だというので買ったら、実はにせものだった」という場合は、錯誤となり契約は無効といえる。
この違いについて、この論文は「錯誤とは、契約の際に同時に存在した事情についてのものであり、将来発生する事実についてのものではない」としている。
上記の例でいうと、「バブル崩壊で土地が値下がりした」というのは、契約の後に発生した事情であり、「作品がにせもの」というのは、契約時に存在する事情、ということになる。
それでは、「この土地は、近くを地下鉄が通るから値上がりする」と言われて買ったところ、地下鉄が通る計画はなく、土地も値上がりしなかった、という場合はどうだろうか。
一見、「地下鉄が通らず、値上がりしなかった」というのは、契約後の事情にもみえる。
しかし、「地下鉄が通る計画がある」という前提で土地を買った場合、「計画があるかどうか」は、契約時に存在する事情だから、錯誤で無効ということができることになる。
ここから分かるのは、「期待どおりにならなかった」というだけでは、契約は無効にならない。契約の時点で、契約に問題があったといえるような場合に限られる、ということである。
(なお、錯誤以外にも、契約を取り消したりできる場合はあるので、契約後の事情だから、契約は一切取り消せない、というわけではない)。
11月02日(金)
茂原法律相談センターの担当日だが、早く終わったので事務所で仕事。
昨日の尋問で疲れているので、届いた書類を読んだりする。
夕方、相談1件。
東京簡裁での裁判を起こされたという内容。
しかし、ほとんど証拠もなく、いいがかりのような裁判と思われたので、答弁書だけこちらで書いて、原告側からはっきりした証拠が出てくるかどうか、様子を見たらどうかとアドバイスする。
11月01日(木)
3年近くやっていた集団解雇事件の証人尋問。
「A会社」が偽装倒産をして、「B会社」に営業譲渡したが、その際、賃下げに反対していた労働組合員だけ採用しなかった、という内容。
A会社とB会社の社長の証人尋問を1日かけてする。
2人とも、A会社とB会社は全く無関係の会社だ、と言っているが、どうしてもぼろが出る。
たとえば、B会社に、A会社の役員(C氏)が派遣されているのだが、A会社社長は、「C氏が自分で決めたことで、自分はかかわっていない」と話している。
しかし、C氏からは、「A会社社長から頼まれて、B会社に移った」という陳述書が提出されている。
A会社社長は、どうやらそれを事前に読んでいなかった模様。
「あなたは、自分は関わっていないというが、C氏は、あなたに頼まれたと言っていますよ」と言うと、「B社の人たちに、難しいことはC氏に相談してみたら、くらいのことは言ったかもしれない」と話を変える。
その他、関係者が色々「失言」をしてくれ、こちら側としては良い結果の尋問となった。