業務日誌 2007年10月
10月30日(火)
ちょっと体調が悪かったり帰りが遅かったりでしばらく更新できず。
過去にさかのぼって更新しようと思っていたがあきらめる。
午前中、訴訟1件。
原告側から、「和解案を出す」「検討中」などと言われて、半年以上止まっていた訴訟。
待たされるこちらもいい迷惑だが、こちらが「勝ち筋」の内容で、原告側弁護士も、そのことを本人に言って、納得を得られるよう努力しているのだろう、ということで、特に文句も言わず待っていた。
しかし「原告がどうしても納得いかないと言っているので、和解案は出せない」とのこと。
こういうときの弁護士の立場というのは、自分の依頼者と、これまでこちら側に約束していたこととの板挟みでなかなかつらいものがあるのでどちらかというと同情する。こちら側の依頼者から見ればやはりいい加減にしてくれということになる。
午後、裁判で問題になっている古い契約書について、当時の事情を知っている人がいる、というので会いに行く。
その人は、原告側・被告側双方に親しい人だったとのことで、相手側もこの人のいうことは否定できないと思われるので、有力な証人になるかもしれない。
10月23日(火)
昨日書き忘れたが、「高金利引き下げ宣伝キャラバンカー」が一宮方面にやってきたので参加。
昨年の法改正で、29.2%もの高金利は引き下げられたが、まだ、高金利を支払い続けている多重債務者は200万人いるといわれており、その啓発活動と、現在の利息の水準(利息制限法で15〜20%)でも高すぎるので、これの引き下げを求める宣伝活動。
「借金の問題は必ず解決できます」などという旗を持って、一宮や茂原駅前で、ビラを配る。
見た目は怪しいがごくまっとうな活動。
途中でホームレスぽい人を見かける。
ホームレスが生活保護を受けて自立を目指すことの支援も、活動内容の一つなので、声をかけるが、当然のことながらすぐ信用してもらうこともできない。
連絡先を書いた紙を渡して引き上げることに。
10月22日(月)
日曜に「銚子電鉄での法律相談会」に参加していた。
銚子電鉄の犬吠駅で、主に、多重債務についての相談をする、という企画。
企画がユニークだったためか、新聞やテレビにも報道され、盛況だった。
銚子電鉄も、(失礼ながら)、もっと寂れているかと思っていたが、観光客でにぎわっていた。
ちなみに、あちこちで、色々な無料相談をしているのをみると思うが、通常の法律相談と内容に差はないので、見かけたら積極的に利用されるとよいのではと思う。
ただ、担当している弁護士から見ると、こういった企画の無料相談は、「法律相談」というよりは、悩み事の相談、という感じのものが多いような印象。
本格的に裁判にでもしようと思っている問題を抱えている人は、自分で弁護士を探して出かけるからではないかと思われる。
10月19日(金)
東京まで、三和ファイナンスの過払い訴訟に出かける。
従業員が出てきて「すでに、新規の貸付けはしていない」とのこと。
帰ってから、同社のホームページを見ると、借入れの案内とか、店舗の案内のページがなくなっている。
この会社もそろそろやばいかも…
ただ、それまでの貸付の回収はしているはずなので、判決が出たら、すぐに強制執行をする方針にして、依頼者に委任状を送る。
10月18日(木)
午後から、「割賦販売法(クレジットに関する法律)改正」についての、消費者団体のシンポジウムに出かける。
現在、経済産業省が、法律改正のための原案を作っているのだが、消費者側の主張(クレジットを使って、悪徳商法の販売がされた場合は、クレジット会社にも、代金を返す責任を負わせてほしい、というもの)について、ある程度実現の見込みがたってきた。
しかし、現時点では中途半端な内容で、法律改正が実現してもあまり使えないかも、という状況(しかし、経産省の天下り先になるような「自主規制団体」はきちんと作るとのこと)。
こういった状況を覆すために、色々運動をしている。
午後8時半まで、東京での行事だったので、帰ったら12時近くに。
10月17日(水)
離婚訴訟で和解が成立。
私は夫側。
夫も、かなりの預金を持っているのだが、妻(ほとんどの期間は主婦だった)も、なぜか夫と同じくらいの預金を持っている、という話。
妻は、結婚前の貯金が増えたのだ、と言っていたが…
このあたりはあまり問題にせず、早期解決という方針での和解となった。
法律扶助の破産事件で、司法支援センターから、手続に必要な契約書が届いたので、依頼者に書いてもらう。
法律扶助を使っている場合、この段階で、正式に引受けたことになり、債権者に「受任通知」を送ることになる。
10月16日(火)
相続関係で、何度か継続している相談。
遺産について、相手側が何かやっているようで、こちらの手元にある資料から、色々推測をする。
しかし、推測は推測でしかないし、考えているだけでは話は進まないので、本気で問題にするつもりなら、訴訟なり何なり起こす必要がある、という話をする。
訴訟の期日に1件出た後、管理をしている土地の売買契約の手続に出かける。
不動産屋ではないのだが、これまで、ずいぶん土地を売った気がする。
その後、複数の弁護士でやっている事件の証人尋問の打合せ。
1人の弁護士が証人役になって、その人を相手に尋問をする練習をする。
こいった念入りな準備をすることはあまりないが、証人役にも、事件の内容を頭に入れる役にたつかもしれない。
10月15日(月)
簡裁の過払い訴訟がこれまでの最高記録(1日で10数件)あったが、期日までに半分くらい和解・取下げとなる。
過払いは、貸金業者側が争わず、途中で和解になることのほうが多いが、取引の中断がある件、貸金業者が途中からしか資料を出して来ない件について、結審し、判決言渡し期日が指定される。
打ち合わせ3件。
業務用ソフトのバージョンアップがうまくいかず、しばらく仕事中断。
その間に判例雑誌を読む。参考になる記事があったので週末にでも書こう。
10月14日(日) 年金分割請求への対応(主に夫側)
年金分割では、妻が5割を主張して、夫がこれを争うことが多い。
その際、夫側は、以下の点は知っておくべきと思われる。
(1)基本的には、特別の事情がない限りは、分与の割合は5割となる。
離婚の財産分与でも、5割となるのが一般的。
また、平成20年以降に年金の保険料が支払われた部分については、自動的に5割の分割となる(3号分割)とされていることからしても、5割を動かすのはなかなか難しいであろう。
5割を切る場合としては、妻が離婚はしないが、家を出て、他の男性と生活していたなど、明らかに妻に貢献がない場合に限られると思われる。
(2)ただし、5割といっても、年金が激減するわけではない。
まず、分割の対象となるのは、「結婚していた期間」なので、「18歳で就職し、25歳で結婚し、50歳で離婚した」という人の場合、18歳から25歳の分の年金は、そのまま残ることになる。
また、結婚していた期間でも、共働きで、妻も厚生年金保険料を納めていた場合は、妻の分も加算した上で、5割となる。
上記の例でいうと、「25歳から50歳までで、夫が納めた保険料」が『7』であるとする。
これに対して、「夫が25歳〜35歳の間は、妻も働いており、その間に妻が納めた保険料」が『3』であるとする。
この場合、両者の保険料を足して、『10』とし、これを半分に分けることになる。
そうすると、夫、妻共に『5』となるので、夫は、『2』しか減らないことになる(結婚前の部分が減らないことも考えれば、減る割合はもっと少ないことになる)。
(3)分与となったら、年金が具体的にどの程度減るのかについては、夫側でも社会保険事務所に問い合わせることができる。
これを見れば、思っていたより減らないことも多いと思われる。
何割、という割合で争うよりも、額を見て、冷静に考えたほうがよいと思われる。
10月12日(金)
離婚後母子家庭をしている人から債務整理の相談。
借入れの理由も、離婚後の生活費などということで特に問題はない。
こういった事案では、費用は法律扶助で立替払いしてもらって、手続をすることになる。
午後から東京高裁で和解期日。
裁判所から和解案が出て、それについて交渉をする。
交渉の内容は、もちろん、事件の内容によって異なるが、和解の席で理屈のことを言っても効果が薄いと思われるような事件だったので、「こちら側の依頼者は気の毒だ、問題となっている取引では利益は得ていない、巻き込まれているだけです」という人情の話をする。
10月11日(木)
午前、午後で調停2件。
一件は、離婚の後の年金分割についての第1回の調停。
しかし、この件は、離婚に至るまで、すでに3年以上争っており、年金分割でも、それまでと同じような争いとなって、話合いは無理と思われる状況。
したがって、調停の成立は期待できない。
こちらとしては、早く調停は打切りにしてもらい、「審判」(話合いではなく、裁判所が決定する手続)にしてもらいたいと考えていた。
依頼者にも、「調停委員から、相手側はこう言っている、という話が出ると思うが、反論しなくてよい。反論しても、調停が成立するわけではない。それよりも『こちらとしては、調停の場で話し合うつもりもないし、この場で反論するつもりもない』と話すように」アドバイスしておく。
こちらがこのような対応を取ったためか、裁判所としても、これまで何年も争っているものを、これ以上長引かせるわけにはいかないと思ったのか、早々に調停は打切り、審判に移行となった。
家事事件では、審判への移行を希望しても、なかなか裁判所に応じてもらえず、調停がだらだら続くことが多いのだが、今回は、その点ではうまくいったことになる。
10月10日(水)
契約関係のトラブルの相談。
色々口車に乗せられ、高い物を買うという契約書にサインしてしまい、現在その請求を受けているとのこと。
確かに、相手はうさんくさいようだし、相談者のいうことも分かるが、契約書そのものはきちんとしているし、本人もその物を買うことは分かってサインしたとのこと。
気の毒だが、詐欺や脅迫など、契約を取り消せる理由は見あたらないと言わざるを得ない。
こういった相談では、つい、相談者に同情して、甘いことを言いたくなるが、冷静に、難しいものは難しいとアドバイスする必要がある。
午後、夷隅の山奥の境界事件の現場を見に行く。
昔、段差が境界の目印となっていたのだが、土地改良のため、段差がなくなってしまっている。
これに、土地改良による換地なども関係してきて、複雑な状況になっている。
しかし、付近は、秋の山里という感じでいい景色だ…
10月09日(火)
遺産分割調停の打ち合わせ。
相続税の申告をしたので、遺産の評価は、申告書を基準にすることになると思われる。しかし、一部、相続税の特別な扱いで、遺産の評価が低くなっているものは、改めて額を計算し直す必要があるという話をする。
いずれにしても、相続は、なかなか理屈どおりにいかないことも多い。
年金分割(夫側)の打ち合わせ。
妻からは5割の分割を請求されている。
一見5割というと多いように思われるが、実際は、「結婚していた期間について、夫婦の厚生年金標準報酬月額を足して、半分ずつにする」ということになる。
結婚前の年金まで分割になるわけではない。
また、結婚中も、夫7:妻3の割合で収入があったとすれば、合計して10にしたものを半分にして、夫5:妻5にする、というものなので、妻側からすると気の毒だが、それほど大きくは変わらないこともある。
今回は、妻側は、年35万くらい増える模様。
夫側も、社会保険庁で試算してもらったところ、年45万くらい減る計算とのことであった。
そうすると、夫婦の年金は、2人の合計では10万減ってしまうことになる(その分、国が得をすることになる)。
10月05日(金)
先物取引訴訟の期日。
まだ3回目だが、お互いの文書のやりとりは、終盤となっている。
裁判の内容は、通常の訴訟よりも複雑なのに、進展は早い。
これは、先物取引の場合、取引の内容は、事前に明らかになっており、それに基づいて本人の話を詳しく聞けば、提訴の段階で、そのまま判決を書いてもらえるような訴状を出せるから。
また、業者側も、慣れた弁護士が対応するので、あまり予想外の反論が出てくることもない、ということもある。
不動産関係の訴訟の打ち合わせ。
昔買った土地について、契約書と、実際の地番が違っており、相手側からは、その点を指摘されている。
ただ、周囲の土地の所有者を調べて、相手側の所有土地は、その一つしかないではないか、ということがいえそう。
そうすると、契約書がその土地を指していることは明らかで、地番は誤記、ということになる。
10月04日(木)
風邪をひいた…。鼻をかみながら相談、打ち合わせ。
以前サラ金やヤミ金から借りており、3年ほど前に完済しているが、最近になって、「その債権の譲渡を受けた、3日以内に120万払え」という電話がかかってきた、との相談。
完済した債権など譲渡のしようもないし、法律では、債権譲渡があった場合、元の債権者が、債務者に、その旨の通知をすることになっている(この通知がなければ、自称債権者からの請求は無視してもよい)。
もちろん、本件ではそのような通知もない。
以上から、以前取引のあったヤミ金が、別の業者を装って、再度電話をかけてきていると思われる。
法律的には全く根拠はないし、要するにオレオレ詐欺のようなもの。
こういった電話は、無視して一方的に切るのが一番良いとアドバイス。
夕方、割賦販売法改正千葉シンポに参加。
10月03日(水)
生活保護を受けている人に対する次々販売(といっても3件くらい)の相談。
家の近くの空き店舗に、一時的に店が入り、近所の人から「安い」と言われ、行ってみた。すると、米1キロが100円など、確かに安いので、毎日行くようになった。
そのうち、健康によいから、などと言われ、マットレスや健康食品をクレジットで買わされた、というもの。
額は、100万円以下なので、破産とはいいにくい面がある(それでも生活保護なのだから返済余力はないはず、ということで、破産にするという方針も考えられるかもしれない)。
とりあえず、業者と信販会社に、契約はクーリングオフする、という通知を出し、支払いは止めることにする。
契約からはだいぶ時間が経っているし、店舗販売の一種なので、そもそもクーリングオフできるか、という疑問もあるが、仮に認められなかったとしても、差押えを受ける財産があるわけでもない。
開き直って支払いを拒絶し、あとは、販売業者と信販会社との間で解決してもらうことにする。
ここしばらく忙しかったが、ここ2、3日は、それほど締め切りもない。
たまには楽をするのもいいだろうということで、溜まっていた事務仕事をする。
10月02日(火)
裁判所は、三和ファイナンス相手の過払い訴訟2件だけ。
三和ファイナンスは、平成9年以前の取引履歴は出さない業者であり、こちらや裁判所から、「取引履歴を出せ」と何度もいわれても出さない。
しかも、「処分してないから出せない」というならまだしも、「探すのは膨大な労力がかかる」というような意味不明な回答(結論としてあるのかないのか不明)しかしてこない。
「全く資料がない以上、三和ファイナンスの主張は無視すべき」という書面を出して、結審としてもらう。
修理代金の請求をしている訴訟で、依頼者が業者からの見積書をもらってきたので、それをもとに準備書面を作る。
修理代金が問題となるような裁判では、業者からの見積書が証拠になるわけだが、その際、きちんとした見積もりを作って、説明もしてくれる業者に協力してもらう必要がある。
この件は、最初に作ってもらった見積もりがいい加減だったので、別の業者に頼んでやり直してもらった、という経緯があった。
10月01日(月)
土、日と、「全国クレ・サラ・商工ローン・ヤミ金被害者交流集会in滋賀」に出かける。
一般に有名なイベントではないが(当たり前か)、クレサラ問題の運動の総本山のような集会。昨年の貸金業法改正でも、ここのメンバーが大きな力を出した。
「被害者」とはいうが、元多重債務者、ボランティアの相談員から弁護士まで参加する。
昨年、貸金業法が改正され、グレーゾーン金利はなくなった。
今後の課題は、すでに発生している200万人以上といわれる多重債務者をどのように救済するか。これだけ、グレーゾーンや過払い問題がマスコミでも流れているのに、相談に来た段階では、そういうことは全く知らなかった、という人も多い。
もう一つは、そもそもサラ金から借りなければ生活できないような世の中が問題であり、現に困窮した場合に、生活保護を活用できるようにすることと、そもそも、そこまで行かないで済むように、労働問題を解決する必要がある、という話だった。
月曜は、東京高裁。
珍しく、「民法○○条の解釈」が問題となっている話。
法学部では、そういう話ばかりなのだが、実際には、法律の微妙な解釈が問題となる場合は少なく、「契約書が本物か、偽造か」などという、「事実」が争いになることが多い。
勝つか負けるか分からないが、いずれどこかに書きたい。