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業務日誌 07年06月

06月30日(土) 仮差押さえ

貸金の返還請求や、離婚の財産分与を請求するため裁判を起こしたいが、裁判をやっている間に相手の財産が処分されてしまうかもしれない、という場合がある。
このような場合は、裁判をする前に「仮差押え」の手続をとる。
もちろん無条件で認めてもらえるわけではなく、(1)被保全権利の存在、(2)保全の必要性を証明すること、(3)保証金を積むこと、が必要とされている。
(1)被保全権利の存在とは、たとえば「お金を貸しており債権がある」ことを証明できること。
全く証拠がなければ難しい、ということになる(貸金であれば契約書くらいは必要と思われる)。
しかし、あくまでも「仮」のものなので、相手との間で争いがある場合でも、自分の手持ちの証拠で一通り筋の通った説明をできれば認めてもらえる余地はある。
(2)保全の必要性とは、裁判が終わるまで待っていたのでは、その間に、財産が処分されてしまうかもしれないので、今の内に押さえておく必要がある、という事情。
相手が財産の名義を換える手続をしているとか、ほかの債権者にも追いかけられている、というような事情のこと。
ただ、実際によくあるのは、「財産隠しをするというはっきりした兆候があるわけでもないが、相手のこれまでの行動からすると心配」というような場合。
このような場合は、被保全権利の証明が確実であり、相手にほかに財産がなく、その財産を処分されてしまうと、ほかに手の打ちようがない、というような事情が必要と思われる。
(3)保証金は、相手の言い分を聞かずに、財産を一方的に押さえるわけだから、万が一こちらが敗訴したような場合、相手に損害が出る場合がある。その損害賠償の担保として納めるもの。
だいたい、請求額の1〜2割が必要となる(1000万円の預金を押さえるなら、100〜200万円)。
離婚の財産分与のような場合、妻には保証金を積むだけのお金がない場合もあるが、こういう場合には、法律扶助協会に保証金を立て替え払いしてもらう、という方法が使える場合もある。

06月29日(金) 

集団でやっている次々リフォーム事件の裁判のため、千葉に出かける。
この件は、悪質リフォーム会社だけでなく、その背後にいる信販会社にも損害賠償を求めている点が特徴。
あまり前例もなく、この種の問題に理解のない裁判官に当たると、ほとんど主張を取り上げてもらえない可能性もある。しかし、今当たっている裁判官は、まじめに考えているような雰囲気はある。最終的にどうなるかは分からないが…。
事務所に戻って相談など。
離婚で、夫から財産分与を受けたいのだが、夫がその預金を勝手に下ろしてしまうかもしれない、どうしたらよいか、との話。
こういう場合には、離婚訴訟が決着するまで、一時的に預金を押さえる「仮差押さえ」がある。
ただ、この件は特殊で、妻名義となっている預金もあるため、仮に夫が預金を全部下ろしてしまっても、すでに妻名義となっているものだけで、財産は確保できるのでは、という感じもする。
このような場合「保全の必要性」に欠けるとして、仮差し押さえは却下される可能性もある。
ただ、財産分与だけでなく、慰謝料請求もしたいとのことであり、慰謝料も含めると、夫の預金を押さえる必要もあるかもしれない。
却下されるかも、という点を理解してもらえるならやってもよいかも、という話をする。

06月28日(木) 

今日は外出予定がなく、相談・打ち合わせ5件。
合間に、ここ1か月準備していた、遺産関係の申立書を完成、裁判所に提出する。
過払い訴訟について、CFJから答弁書が届く。この件は、取引履歴に貸付の記載がなく、返済から始まっている。
貸付がないのにいきなり返済から始まっているのは明らかに不自然で、それよりも古い資料が提出されていないことになる。
このため、こちらは、最初の返済からいきなり過払いになる計算(いわゆる冒頭ゼロ計算)をしている。
CFJは、「冒頭ゼロ計算は認めない。こちらにはこれ以上の資料はないから、古い取引は原告側が立証せよ」と言っているが、案件によっては、冒頭ゼロ計算を争ってこないことも多い。
そうすると、CFJ内部では、古い取引の資料(完全なものでなくても)があって、冒頭ゼロ計算を争った方が得なものと、争わないほうが得なものの見分けがついているのでは、という疑いも出てくる(確信はないが)。
訴訟で、取引履歴以外の顧客情報をどのように管理しているのか、説明を求めていく必要がある。

06月27日(水) 

午前、川崎まで和解期日のためでかける。前にも書いたおしゃべり(しかも寒い…)な裁判官。緒方元公安調査庁長官の話からミートホープまで、話がそれる…。どうでもいいけど、緒方元長官は私の大学のサークルのOBという話も思い出した(もちろん会ったこともない)。
肝心の和解のほうは、何とか成立しそうな雰囲気となる。もう一回持ち帰って検討する点があり、来月に続行。
急いで事務所に戻り、打ち合わせを2件。その合間に、夕方からの勉強会の資料を作成。5時の電車で千葉に向かう。

06月26日(火) 

先物取引裁判の第1回期日。こちらは、「先物取引は非常に危険だ」と主張しているのに対し、被告(先物会社)側からは「危険もあるがその分大きな利益が出る可能性がある」という答弁。このあたりの一般論はお互い、同じパターンで、次回以降、取引の際の具体的なやりとりなど、本格的な内容に入る。
その他、消費者事件2件について、被告側が途中から裁判に出てこなくなったので、審理終了、判決言い渡し期日が指定される。
その後、1件打ち合わせ。近々裁判所に提出する申立書を完成される。
昼から、茂原法律相談センターに出かける。本来は丸一日のものなのだが、ほかの弁護士の代役。
3時で終わり、東京まで、割賦販売法改正の行事に出かける。
その様子は
こちら(私が記事を書いてます)。

06月25日(月) 

土日の間に生活保護の研修と、交通事故現場の写真撮影に出かけていた。
交通事故のほうは、相手側が主張するような自動車の動きには、よほど特殊な操作をしないとならない、ということを立証するため、通常の動作と、相手の主張するような動作をして、対比してみるというもの。
時間のことも気にしないで、のんびりこういうことをやっていられれば楽しいのだが。
今日は、簡裁で、過払い訴訟の期日5件。
いずれも、業者とは話がついているので、○月○日までに返還受けて、裁判は取り下げます、という話をしてくる。
前にも書いたが、最近、件数が増えたので、簡裁の法廷がある月曜は、過払い訴訟の日になってしまっている。
近々証人尋問になる件の記録を読み直す。これは、私が主任ではなかったので、あまり気合いを入れて読んでいなかった。このため、見直すのに深夜までかかる。 /p>

06月24日(日) 破産の場合の農地の扱い

先週、退職金の扱いについて書いたが、農地(や山林)の扱いについても微妙な問題がある。
農地でも、売れれば、それなりの配当原資になるので、原則は管財事件となる。
しかし、そもそも、売れるような土地なら、破産に至るまでに処分して、借金の返済などにあてているのが普通なので、破産まで残っているような土地は、ほとんど価値がないことが多い。
それでも、面積が広い、ある程度数がある、という場合は、債権者のことも考えると、売却を試みる必要があるので、管財事件とされてもやむを得ないと思われる。
ただ、実際には、管財事件になったとしても、管財人が調査をした結果、売れない、ということであれば、土地は「破産財団から放棄」されて、本人に戻されることになる。
これに対して、山奥に小さな田が一つあるだけ、というような場合は、現地の写真を撮るなどして状況を説明すれば、管財事件にはならない可能性もある。
個人的な経験では、区画整理済みのそれなりに面積のある農地があり、管財事件になるだろう、と思っていたら、裁判官から、「この程度ならよいでしょう」と言って、同時廃止になったこともある。
裁判官の個人差や、破産に至った経緯が同情できるものかどうか、管財事件の費用を用意できる余力があるかどうか、ということも一つの基準と思われる。

06月22日(金) 

今日は一日事務所にいられたが、昨日外出していた反動で、一日面談予約。
前にも書いたが、依頼者も近くの人なので、聞きたいことがあると直接来る。こちらの体力的にも大変だが、これはよいことだと思っている。
この面談と、昨日届いた郵便物の整理などをしているうちに一日終わる。

06月21日(木) 

当番弁護の割当日。
朝から千葉の裁判所に出かけるが、船橋東警察に行ってほしいとの指令が来るので直行。その次に市川警察。
直線距離は近いが、警察は、どこも、駅から遠い(がタクシーを使うほどの距離でもない)場所にあり、結構移動が大変。
1件は、人を殴って物をとった、という話で、容疑としては、傷害+窃盗という形になっている。前科がなければ執行猶予になりそうな感じではあるが、「殴ってとった」ということだから、今後の捜査の展開によっては、強盗、強盗傷害で起訴される可能性もないとはいえない。
そうすると、刑が格段に重くなる。あまり軽く見ず、被害者にもきちんとお詫びや弁償をしたらどうか、と話してくる。
そのまま千葉に移動して弁護団会議に参加。事務所に戻れず。

06月20日(水) 

朝から八日市場支部に出かける。午後から相談・打ち合わせ3件ほど。
債務整理関係は、最近、微妙な案件が多く困る。負債は100万くらいだが、生活保護とか年金でぎりぎり生活、というような内容。
その他、不動産売買の契約書作成など、事務的な仕事を片付ける。
昨日、会社の破産を申し立てて、債権者にも「破産します」という通知を送っており、色々問い合わせの電話もあるかと思ったが、全く電話なし。やはりすでに裁判所に申立済みなので、私に何か言ってもしょうがない、ということかもしれない。いずれにしても債権者には申しわけなく、こちらも気が重い仕事ではある。
ついでに過去にさかのぼって土曜(16日)の分もアップ。

06月19日(火) 

離婚の後に発生した問題の相談。母子手当の受給手続に行ったら、「条件を満たさないので受給できない」と言われているとの話。
私も児童扶養手当法の専門知識はないが、法律では、離婚した場合は原則手当を受給でき、例外的に、再婚相手に養育されているとか、その人にある程度の収入がある場合には受給できないという条文となっている。この例外にあたるかどうかはっきりしない、という話。
このような場合でも、市役所は、本人の申請の意思がはっきりしているなら、いったん申請を受け付けて、例外の事情があるかどうか審査し、例外の事情があるのなら、どれにあたるのかをはっきり示した上で却下する必要がある(この却下処分に対しては、異議を申し立てることができる)。
しかし、実際には、受付の段階で、安易に「受給できない」というようなことを言って、本人を追い返してしまう運用がみられる。
「私も100%の自信はないが、まずは、法律のどこにひっかかるのか、と聞いて、答えがはっきりしないなら、申請書を置いてきたらどうか」、とアドバイス。
午後から、破産した人の土地の様子を見に行く。農地なのでまず売れないだろうが、面積もそれなりにあるので、現地を見る必要がある。
のどかな山の中でピクニック気分だが、そんな場所の土地は売れないだろう、ということで、裁判所には、「売却は不可能と思われる」との報告をする。

06月18日(月) 

体調悪く土日更新できず。後でやります。今日も風邪ぎみ。
近々裁判所に申し立てる件のため、コピー機フル稼働。
昨年末ころから、過払いについては「全件訴訟主義」(あくまでも全額の支払いを求め、応じてこない場合には全部裁判にすること)を採用(大げさ)したたため、訴訟の件数が多い。それぞれの期日の1週間くらい前には、出すべき書類を出して準備を完了しておく必要があるのだが、どこまで準備済みだったか忘れてしまう。
このため、毎週月曜には、次の2週間分についてどうなっているか改めて見直す必要がある。
夕方、東京で会合。風邪ぎみなのでさぼろうかと思ったが、夕方にはよくなってきたので5時半の特急で出かける。

06月16日(土) 破産の場合の退職金の扱い

破産した場合、退職金も財産の一部なので、何らかの形で現金に換えて、債権者に配当する必要がある。
ただし、退職金を受け取れるのは相当先の話であり、財産としては不確実なもの、という側面がある。
このため、破産した時点で、仮に退職した場合の退職金の額を算出した上で、その8分の1が、現時点での財産とみなされる(退職時期が間近の場合には、もっと割合が上がる可能性はある)。
それでは、退職金の8分の1を、どうやって現金に換えるのか、という問題があるが、もちろん会社を辞める必要はない。
仮に、破産の時点での退職金が400万円だとすると、8分の1は50万円なので、同じ金額を、月々の給料から積み立てていけばよいことになる。
ただ、現実には、子の教育費などのため、破産して債務の支払いがなくなっても、生活がぎりぎりで、積み立てが困難、という場合もある。
このような場合は、裁判所や破産管財人と協議して、「自由財産(=破産しても残せる財産)拡張」の扱いをしてもらったり、親族などからある程度の援助を受けて一括で払う代わりに、積立額を下げてもらう、というような対応が考えられる。
これが認められるかどうかは、破産に至った事情が同情に値するかどうか、積み立てができない理由がどのようなものか、にもよると思われるが、このあたりをきちんと説明することが弁護士の仕事、ということになる。

06月15日(金) 

千葉の裁判所で、サラ金会社への残業代請求の訴訟。
この会社、業務停止の処分を受けており、「残業代を払ってもらうまでにつぶれるのでは」という心配もある。
しかし、これまでは、裁判に、弁護士と一緒に社員が出席していた。
「裁判に社員を出す余裕があるなら、まだ大丈夫だろう」と思っていたが、今日の期日には来ておらず、その社員は退職したとのこと。本格的にまずいかも。
事務所に帰って相談。債務整理2件、相続1件。訴訟の期日1件
債務整理は1件は「軽傷」だが、もう1件は、不動産担保でサラ金から借り入れをしており、「重傷」。親族か何かに援助してもらわないと厳しいだろう。
昨日から1日半事務所を留守にしており、用件がたまっているが、昨日の疲れもありあまり片付けられず。

06月14日(木) 

朝6時に起きて、相模原の国民生活センターまで講義にでかける。
最後の質問コーナーで、答えられない質問があり、大勢に笑われる。(私の知識不足を棚に上げると)質問に対応するため色々資料を用意していったのだが、控え室に置いていってしまったのが敗因であった。
終了後、資料を見直して、その場で回答の文書を作成して帰る。まあ、こういう経験をして覚えたことは絶対忘れないので、前向きに考えることにしよう。
その後、川崎まで移動して裁判1件に出席し、夜は日弁連で会合。

06月13日(水) 

破産の債権者集会2件。私が申立側であるものと、管財人であるもの1件ずつ。
どちらも、退職金の積み立てをどこまでやるかが問題となっている。前にも書いたが、8分の1といっても、全額を短期間で積み立てることは困難。
このため、1件は、本人が入っている生命保険を解約して、解約金を配当にまわしてもらう代わりに、積み立ては途中で終了。もう1件は、仮に全額積み立てても、配当率1%程度にしかならないので、全額積み立てるまでもない、という話になる。
夕方、依頼者と、裁判所に提出する「陳述書」の準備をする。この件は、法律論としては単純で、「契約どおりの代金を払え」というだけの話で、原告も被告も、その言葉の意味だけを争っている。
ただ、裁判官からは、契約に至るまでの背景などが分からない、との話もあり、そこまでさかのぼって、本人の言い分を書くことにする。

06月12日(火) 

午前、千葉の裁判所まで出かける。 午後は一宮で訴訟の期日1件。
こちらは被告側となっているが、原告側は、被告の銀行口座について、裁判所から調査をしてほしい、という申立をしている。しかも、思い当たる銀行を手当たり次第に調べてくれ、というような内容。
こちらからは、「関係証拠によると、○○銀行の口座に、○月○日ころに、不正な入金があるはずだから、それを調べてほしい」というような形で具体的に言うならともかく、無差別に調べるというのは調査の範囲を超えている、と反論している。
この調査は、認めるかどうかは裁判所の裁量次第であり、裁判官による差が大きいように思われる。
相談を何件かした後、明後日の某所での講義の原稿を見直す。1か所間違いがあった。あわてて訂正。

06月11日(月) 

年金記録紛失問題のニュースを見ていたら、5年くらい前に担当した強盗事件を思い出した。
被告人によると、「定年になったので年金受給の手続に行ったが、『つとめていた会社が年金の保険料を納めていない』と言われて受給できなかった。そのため、食うにも困って、弁当屋で弁当を奪おうとした」とのことだった。
この件、本人の言動の端々から、犯罪とは縁のないまじめな人だと思われ、強盗では珍しい執行猶予となった。
これ、もしかすると、記録紛失だったのでは…
いずれにしても、「執行猶予になったら、とりあえず生活保護の申請をしたらどうか」くらい話せばよかったが、当時は知識がなくそこまで思い至らなかったのを思い出しました。

06月10日(日) 複数後見

成年後見人の職務は、大きく分けて、(1)財産管理と(2)身上観護に分けられる。
通常は、1名の後見人が両方の職務を行う。
ただ、身よりもなく施設を転々としている、というような場合は、施設との応対などに専門知識が必要となる。このような場合は、弁護士が財産管理担当、社会福祉士が身上観護担当、として、2名の後見人が選任される場合がある。
また、親族間で、痴呆となった老親の後見人に誰がなるか、が争われている場合、中立の立場の弁護士が財産管理担当となり、身内の方は身上観護担当となる場合もある。
前者は、弁護士には重要な話しなのだが、身寄りのない方が対象の場合が多いので、ここを見ている方にはあまり関係ないかもしれない。
後者は、「親がぼけてきたので自分が後見人になって財産を管理してあげよう」として手続をとった際に、その意図に疑問をもった兄弟から異議が出されて、思わぬ展開になってしまう場合もある、ということなので、このような心配のある方は注意したほうがよいことになる。

06月09日(土) 過払い金問題 その2(最高裁H19.06.07判決)

サラ金とのリボルビング形式での取引で、約定利率だと残があるが、利息制限法で計算すると、過払いとなっている場合がある。
たとえば、10万円過払いとなっていたとして、その後、50万円を借り入れたらどうなるか?
これまでの実務では「残高がマイナス10万円の状態で、50万円を借り入れたのだから、過払いの10万円を借入れに充当する。そうすると、40万円が残高となる」と計算していた。
しかし、一部のサラ金やクレジット会社は、「取引の最中で、過払いを貸付に充当するなどという話は出ていなかったのだから、過払いと貸付は別枠で考えるべきだ」と主張していた。
この主張を前提とすると、上記の例では、「10万円の過払い」と「50万円の貸付」が平行して残ることになる。
10年も20年も取引が続いている場合には、債務者が過払いがあることに気づかず、まじめに返済を続けている間に、過払い金は時効になっている、という場合も出てくる。
当然、長い取引の場合、前者の計算のほうが過払いが多くなる。
この点について、最高裁平成19年06月07日は、一般論として、「過払い金が発生した後に貸付が行われた場合、過払い金は、当然には貸付には充当されない」とした。しかし、リボルビング形式での取引については、「リボルビング形式の取引の場合は、貸付や返済は、リボルビングの残高を増減させる要素に過ぎないから、過払い後に貸付が行われた場合、過払い金は貸付金に充当される」とした。

この結論自体は評価できるのだが、これは、当然といえば当然の結論。
むしろ、一般論で「過払い金は、当然にはその後の貸付には充当されない」としたことが大きな問題。
「過払い発生後の貸付との充当」が問題となるのは、リボルビング形式の場合に限られない。そのような場合を切り捨てるのであれば、サラ金に「利息制限法違反利息の取り逃げ」を許すことになりかねない。
もっとも、今回の最高裁判決も、「充当ができるのはリボルビング形式の場合に限られる」とは言っておらず、ほかの場合でも充当できる可能性があるとの含みのある表現となっている。

06月08日(金) 

相談一件の後、裁判所に出した書類に間違いがあるとの連絡があったので、裁判所に訂正に行く。その後、そのまま東京へ。
クレジット問題で私が入っている団体が、公明党からヒアリングを受けることになったので参加する。といっても私は議事録係で後ろに座っているだけですが。場所は参議院議員会館。こんなところに何度も来ることになるとは思わなかった。
夕方事務所に戻る。サラ金のエイワが、「以前出した取引履歴が、同姓同名の別の人のものだったので、返してください」とやってくる。こちら側でも間違った内容とは気づかなかった。お互い様なので別に構わないと話す。
しかし、ここの社員はほかとはひと味違う。暑いのに黒のダブルのスーツで、まんがで出てくる取立て屋そのものだ。入社したらすぐパンチパーマにしてこい、と言われるという噂は本当だろうか。

06月07日(木) 

午前相談、午後調停。
ここしばらく、交渉で解決するような案件が多かったが、最近、通知書を送っても返事が来ないようなものがいくつか出てきた。裁判の手続をとる必要があるだろう、という打ち合わせをする。
遺産関係のものがいくつかあるのだが、遺産は、なかなか見通しが言いにくい。裁判は、こちらの言い分を裁判所が認めるかどうかの話なので、手元にある証拠から、認められる可能性が高いか低いか、という予想(当たるかどうかは別として)をいうことはできる。
調停の場合は、何分の1かの相続分を保証されている、という点では単純といえば単純だが、親族間の感情的な対立が背景にあることが多い。このため、感情的な反発から、協議に協力しないような人が出てくる。そうすると、時間もかかるし、費用も余計にかかる可能性もある。
このため、遺産関係の場合は、いつも、「時間も費用もかかるかもしれないし、ある程度金銭的な余力も必要だが、大丈夫ですか」と確認してから始めることになる。
過払い金問題の重要な論点について、最高裁の判決が出た。詳しくは週末に書きたい。

06月06日(水) 

交通事故(額はすごく小さい物損)について、相手側から準備書面が届く。
こちら側は、相手が追突してきた、と主張し、相手側は、こちらが急ハンドルを切った、と主張している。
しかし、事故直後に警察が作った「物損事故報告書」がある(まだ裁判所には出していない)。相手の言う事故の状況は、それと全く違っている。
この報告書は、事故の概要を記録するだけのもので、細かい状況が争いになったときは、それほど役に立たないことも多い。ただ、今回は有力な証拠になるのではないだろうか。

06月05日(火) 

朝から夕方まで相談の予定だったが、当日日程変更になったものもあり、その間に来週の債権者集会の準備をする。
管財事件となると、破産の時点での退職金の8分の1を積み立ててもらい、債権者に配当するのだが、生活に余裕のない方の場合には、その積み立てもなかなかできない場合がある。
この件では、「多少無理してでも早めに積み立ててください、その代わり、若干不足があってもかまわないことにしたい」と話していた。
予定どおり積み立ては貯まったが、中途半端な金額となってしまった。手続費用も考えると、債権者に配当しても1%にもならない。
こういったことも考えると、退職金の8分の1が自由財産(99万円)の範囲内なら、積み立てをしないのがよいのではないかと思う。
いずれにしても裁判所が決めることではあるのですが。

06月04日(月) 

個人再生事件の申立書1件完成。この件は、債務の額もそれほど大きくない。今後、貸金業法の総量規制がきちんとまもられれば、破産よりも、こういう案件が増えてくるのかもしれない。
過払い金問題その1(コラム参照)でも書いた、最高裁平成19年判決が、仲間の弁護士との間で話題になる。千葉地裁の某裁判官が、この判決が掲載された専門誌のことに言及して、早く和解したほうが得だ、などと言ってきたとのこと。しかし、その文献を読んでも、別にサラ金側に有利なことは書いていない。その裁判官は何を考えてるんだろうか、という話しをする。
身寄りのない方の後見人をしている件について、もう一人の後見人(社会福祉士の先生)から連絡をいただく。私は財産管理の担当で、その方の家の売却を検討しているのだが、売ってしまうと、住民票を置けるところがなくなってしまう。現在いる施設は、正式に入所するための要支援度が足りず、短期入所扱いとなっているため、住民票を移すことができない。
身寄りのない方の場合は、行き場所がなくなってしまうと困ってしまう。身内と違って、自分の家に引き取るわけにもいかない。このような問題については、弁護士の知識が及ばないところなので、社会福祉士の後見も必要となる。

06月03日(日) 期間経過後の相続放棄

遠方に住んでいた親が亡くなり、財産もなかったので相続の手続もしないでいたが、数年後、親の債権者からの借金の請求書が来た、という場合はどうすればよいか。
相続放棄は、「相続の開始を知った時」=「親の死亡を知った時」から3か月以内にする必要があるので、一見、この時点で相続の放棄はできないようにも思われる。
しかし、「相続人が相続財産が全くないと信じたこと信じたことに理由があるときは、3か月の期間は、相続財産があることを知ったときから進行する」という最高裁判例がある。
借金も、「マイナスの財産」なので、今回の件では、「親の借金があることを知った時点」で、「相続財産があることを知った」ということになる。
したがって、親が亡くなってから、通常の3か月で、借金があることに気づかなかった理由を証明できれば、相続放棄は認められることになる。
たとえば、親と長い間音信不通となっており、親が世話になっていた施設などから死亡を知らされ、葬式に行っただけで、財産や債務を調べもしなかった、というような理由があれば、「財産がないと信じたことに理由がある」ということになる。

ちなみに、相続放棄の手続は特に難しくないので自分でもできるが(家庭裁判所で書類をもらって書く)、一度専門家に相談した上でやったほうがよいと思う。

06月02日(土) 住宅ローン特別条項と保証人の破産

夫が住宅ローンの主債務者となり、妻がその保証人となっているとする。そして、夫も妻も多重債務になっているとする。
この場合、夫は個人再生で、住宅ローン特別条項を使い、住宅ローンの支払いを継続し、妻は破産することが考えられる。
ここで問題となるのは、住宅ローンの契約書には「保証人が破産したら、主債務もその時点で一括返済してもらう」という条項が入っている点である。
妻が破産するとこの条項に該当し、一括返済となるため、住宅ローン特別条項で返済を継続することができなくなる可能性がある。
ただ、実際は、住宅ローンの債権者としても、もともと妻の支払い能力をあてにしているわけではない。また、特別条項が使えないと、夫婦ともに破産となってしまい、かえって損をしてしまう。
このため、「妻が破産しても、一括返済扱いとはせず、特別条項での返済を認める」という金融機関が多いと思われる。
私の経験では、(旧)住宅金融公庫と、県内の銀行、信金、信組などはだいたい大丈夫ではないかと思う。

06月01日(金)

「首都圏生活保護支援法律家ネットワーク」から、6月に千葉で研修会をするとの案内が来たので、参加と、ネットワーク加入の申し込みをする。設立の前から案内はもらっていたのだが、加入申し込みを出すのを忘れていた。
生活保護と弁護士はあまり縁がなさそうにもみえるが、法律では生活保護の条件を満たしているのに、行政が、予算の制約などから、きちんと手続をせず追い返してしまう、という実態がある。これは生活保護法の違反という法律問題となるから、弁護士の仕事となる。もっとも経済的にはボランティアですが。
ホームレスの方たちが、決まった住所がないために、保護を受けられないため、いつまでも路上生活から抜け出せない、という問題もある。
このように、本来保護を受けるべきなのに、受けられない人がいる場合、行政の窓口に同行したりして、条件を満たしていることを説明したり、法律に沿った扱いをするよう求めることになる。
私はこの分野では大した経験もないが、地域の高齢化などが進行してくると、弁護士も福祉の知識が必要になってくると思う。